まだ肌寒い1月の下旬、土曜日。どこかへ行きたいと言うので、「中央線巡りをしよう」と提案する。はじめは三鷹のジブリ博物館に行くか、と言っていたのだが、断念。まず吉祥寺へ行き、そこから西荻窪、高円寺と都心に戻りながら、その辺をぶらつくことにした。

昼過ぎに家を出て、15時頃吉祥寺に降り立つ。昼食もまだだったので、腹ぺこだ〜と駄々こねながらも雑貨屋とかはしっかり見る。もう一人と落ち合うために、とりあえず、と軽めのカフェを探す。駅から少し歩いた月波珈琲店を発見。アパートの下で、いわゆるB1、道路から一段低い場所にドアがあった。階段を降り、中に入る。店内は15人くらいが座れそうな広さ、うす暗く落ち着いた雰囲気が漂っていた。
メニューに目を通すと見慣れぬカタカナが並ぶ。「クロックムッシュ」という全く全貌が分からないメニュー。クロックムッシュってなんだ?よく分からんが一人がタルトを頼んだので、こちらを注文。ググるとチーズとハムを挟んだパンにベシャメルソースとバターを塗ったものらしい。ベシャメルソースも分からんわ。

カフェにしては割と長めに待ったあと、ピクルスとともに穏やかそうな女性が運んでくる。出てきた時ぶっちゃけ「フレンチトーストやんけ!」と思ったが、食べてみると全然違った。めっちゃ美味い。フレンチトーストがあんまり好きではないのだが、チーズとハムが入っているのでこちらは完全に別物、ご飯系だ。甘くない。ピクルスの付け合わせもよかった。隣に一人画集をめくる女の子がいたのだが、吉祥寺ってこんな街です、という権化のようで、クロックムッシュを切り分けながらたまに彼女の本をのぞいたりした。吉祥寺の女、お洒落やな〜。混んできたので、食べ終えて店を出た。中央線に住んだら一人で来たい。

少しぶらつき、花屋を見たり陶器屋で茶碗を買ったりした。少し歩いて日も傾いてくると、また腹が減ってきた。如何せんしっかり食べてないので当然。がっつり食おうと話して、餃子という文字が目に入る。一圓本店と書いてあるが、読めない。調べると「いちえん」と言うらしい。
どの餃子にする?と話しながら、少し並んで入店。店内にはカウンターが円を書いて並び、中央の厨房で白い作業着を着た店員がキビキビと餃子を茹でている。餃子全部食いて〜!と、焼き茹で揚げ、オリジナル餃子の4種類くらい頼んだ。頼み過ぎやろ。全部美味かったし、店の雰囲気も良かった。中華屋ぽくなく、店内は木だし、今時感とも違う。そんなに広くなかったので3人くらいでまた来たい店。ラーメンもあるらしい。何より餃子焼くとこが見えるのいいな。高まる。

腹も満たされ店を出た。ここまで食ってしかいないが、ちゃんと店も見てる。写真ないだけ!
吉祥寺の次、西荻窪へ行き、お気に入りの雑貨屋や良さげな本屋をまわった。西荻窪、街の感じがすきなんよな。
途中、持ち帰り自由と書かれた棚に、本が山積みされた店があった。めくると中は白紙、束見本だ。書籍などを印刷する前に、確認のため中身のない本を刷る。何に使うわけでもないが、本はいくらあっても困らない(むしろ欲しい)ので、ありがたく頂戴した。中には表紙がしっかり擦られているのもある。厚さ感がちょうど良い。

今のところ西荻窪が住みたい街上位に食い込んでいる。お洒落な店も多いがお高くなく、なぜか人が少ない。しかし程よく栄えている(なぜ?)。
次は高円寺に向かった。初めて行くので雰囲気が掴めないが、とりあえず気になっていたレコード屋に向かう。かなりマニアックで、ほぼ知らない円盤やCDが多かった。小物もある。最近可愛いカセットテープや7inchiレコードが多い。財布に余裕があればなあと思いながら、給料日の後にリベンジしようと店を後にする。店構えもかわいい。
先ほどのレコード屋は駅裏だったらしい。表側に行くと居酒屋や飲食店が並び、賑わっていた。駅の表裏でかなり印象が違う。西荻窪とはうって変わり、狭い小道に店と人がひしめき、夜ぶらつくのにはいいかもなと思った。

とりあえず夕飯食うかと話し(マジで食ってばっかに見えるが断じて違う)、洋食屋「ダイゴ」と書かれた看板を見つけた。ここにしよう、と階段を上がる。店内には他に客が二組、店長と思しき男性が厨房から出てきて、席に案内された。見回すとドラマのロケ地になったらしく、窓際の机に「ココがあの席」といった内容の張り紙がされている。何を食べようか、とメニューを見て、オムライスを注文した。他2人はナポリタンとカレーを注文。
昔ながらの洋食セット。おばあちゃん家で食べるような多幸感に包まれる。スープも美味かった(この記事で何回美味いって言うん、全部美味いから仕方ないが)ケチャップライスがしっかりべちゃべちゃでよかった。変な感じに中途半端なケチャップライス、あれはマジで許さん。店内を見渡すと大型音楽機器が多くてビビる。天井から吊るされたデカイVOXのスピーカー、バカデカイモニター、何枚あるかわからんレコード。店長の趣味かな、とか思いながら、ペロリとオムライスを平らげた。

以上。帰りは中央線から渋谷で乗り換え、最寄駅へ向かった。特に目当ての店があったわけではないが、三歩歩けばよさげな店があったので、マジで金銭的余裕に溢れた日に行ったほうがいい。食べ物も雑貨も本屋もあって、それが全部徒歩圏内なので歯止めが効かない。ただ目的がなくても楽しいのは確実なので、とりあえず天気いいしどっか行くか〜な休日にはおすすめだ。というか住みたい。

今のところ次引っ越すなら三茶か中央線だな。職場の先輩曰く、「中央線に住んでる奴は全員サブカルクソ野郎」だそうで、「そういう人ってジャムとか自分で作って、友達にチャイとか出しちゃうんだよね〜〜〜」と言ってた。おもろい。未開拓駅シリーズ楽しいな。春きたらまたリベンジする。友人各位、一緒に行ってくれ〜。